不織布百科事典

アイデアを形にする不織布の可能性

吸液性・保液性

ぐんぐん吸い込む、しっかり保つ。不織布の得意技。

特徴

水や油などの液体を吸い込むことは、不織布が最も得意とすることの一つです。その秘密は、二つの異なる力の足し算にあります。一つは、繊維そのものがスポンジのように液体を吸収する力。もう一つは、たくさんの繊維が作るミクロな隙間が、まるでストローのように液体を吸い上げる力(毛細管現象)です。

「吸う」機能の二つの役割

肌の水分を保つ、フェイスマスク。目的によって、求められる『吸う力』は変わります

この力のおかげで、製品によっては自重の何十倍もの液体を吸収できるものもあります。

探求のポイント:

速さ vs 量、その奥深いバランス

この機能で面白いのは、「たくさん吸うこと」と「速く吸うこと」が、必ずしも両立しない点です。例えば、繊維の隙間を非常に細かくすれば、水を吸い上げるスピードは上がりますが、一度に蓄えられる量は減ってしまいます。

ワイパーのように「速さ」が求められる製品、フェイスマスクのように「量」が求められる製品、それぞれの目的に合わせて、この絶妙なバランスを設計しています。

主な使用用途

この「吸い込む力」は、液体のコントロールが必要な、暮らしの様々な場面で活躍しています。

  • ワイパー、ウェットティッシュ、フェイスマスク
  • 加湿器のフィルター、芳香剤の芯
  • 絆創膏のパッド部分、医療用ドリップ吸収シート

技術特性とスペック

液を吸い込む力も、JIS(日本産業規格)という国が定めた共通の「ものさし」で測ることができます。

吸水の品質検査をしている様子

吸水率法 (JIS L 1907)

どれだけ多くの水を吸い込めるかの「量」を測ります。

吸水速度法 (JIS L 1907)

 どれだけ速く水を吸い上げられるかの「スピード」を測ります。

キーワード解説

毛細管現象:
細い管の中を液体が自然に昇っていく現象。植物が根から水を吸い上げるのと同じ原理です。

界面活性剤:
水と油のように、本来混じり合わないものの境界面に働きかけ、性質を変化させる物質。ここでは、不織布の表面を水と馴染みやすく(親水性)するために使われます。

製造方法と品質

どうやって不織布にこの力を与えるのでしょうか?方法は、大きく分けて二つあります。

素材の力

水を吸うのが得意な「レーヨン」や、油を吸うのが得意な「ポリプロピレン」など、目的に合った繊維を選んで作ります。

薬剤の力

完成した不織布に、より水を吸いやすくする特別な薬剤(界面活性剤など)をコーティングします。

私たちは、お客様の製品の目的や用途に合わせて、最適な方法を選んで、この「吸い込む力」を実現しています。

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