不織布百科事典

アイデアを形にする不織布の可能性

抗菌・防カビ・抗ウィルス

見えないけれど、大切な「清潔」を守る力。

特徴

私たちの身の回りには、目に見えないほど小さな菌やカビ、ウイルスが、常にたくさん存在しています。不織布の「抗菌・抗カビ・抗ウイルス」機能は、これらの微生物が、製品の上で活動するのを抑え、清潔な環境を保つための大切な技術です。

「清潔」を守る力の種類

「菌を抑える」という目的には、その強さによっていくつかの段階があります。下の図のように、それぞれに役割があります。

ひと目でわかる!「清潔」を守る力の種類

私たちが主に提供するのは、製品を長く清潔に保つための『抗菌・制菌』の技術です。

抗菌 → 相手は「細菌」(大きさ1μmほど。髪の毛の直径の約100分の1)

ヨーグルトを作るのも細菌ですが、時には病気の原因にもなります。大きさは1μm(マイクロメートル)ほど。髪の毛の直径の約100分の1という小ささです。

抗カビ → 相手は「カビ(真菌)」(胞子は2〜10μmほど。キノコの仲間)

お餅やパンに生える、キノコの仲間です。胞子(大きさ2〜10μm)は小さいですが、集まると目に見えます。水分が大好きなので、通気性が良く乾きやすい不織布は、カビにとって少し住みにくい環境です。

抗ウィルス → 相手は「ウイルス」(大きさ0.1μmほど。細菌よりもさらに小さい)

インフルエンザなどが有名です。細菌よりもさらに小さく(0.1μmほど)、自分だけでは増えることができず、生物と非生物の中間の存在だとされています。

探求のポイント:

安全性と、効果の持続性との両立。

抗菌性能を持つ薬剤の中には、効果は高いものの、人の肌には優しくないものもあります。また、洗濯を繰り返すうちに、その効果が少しずつ薄れていってしまうこともあります。私たちは、赤ちゃんのおしりふきから、医療現場で使われるガウンまで、その製品が「誰に」「どのように」使われるのかを深く考え、人体への安全性を第一に、かつ、できるだけ長く効果が持続するような、最適な薬剤と加工方法の組み合わせを、日々研究しています。

主な使用用途

「清潔を守る力」は、暮らしの様々な場面で活躍しています。

マスク、おしぼりなどの衛生用品

エアコンや空気清浄機のフィルター

その他、病院で使われるシーツやガウンなど

技術特性とスペック

この目に見えない力は、JIS(日本産業規格)という国が定めた共通の「ものさし」で、客観的な数値として測ることができます。

抗菌: JIS L 1902

抗カビ: JIS L 1921

抗ウィルス: JIS L 1922

これらの試験で、「抗菌活性値」などの数値が2.0以上あると、「効果が認められる」と評価されます。

マスクの製造工程

キーワード解説

μm(マイクロメートル): 1mmの1000分の1の長さ。

JIS(日本産業規格): 日本の産業製品に関する規格や測定方法などを定めた、国の基準です。

製造方法と品質

どうやって不織布にこの力を与えるのでしょうか?方法は、大きく分けて二つあります。

加工の力

完成した不織布に、抗菌などの効果がある薬剤を、後からコーティングする方法です。

素材の力

製造の段階で、もともと抗菌などの力を持っている特別な繊維を、他の繊維と混ぜ込んで作る方法です。

私たちは、お客様の製品の目的や用途に合わせて、最適な方法を選んで、この「清潔を守る力」を実現しています。

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