熱で、ぴたっ。中身をしっかり守る、接着の技術。
ヒートシールとは、熱と圧力をかけることで、不織布同士や、他のフィルムなどと接着させる技術です。お茶のパックや、お菓子の袋の口が、のりも使わずにぴったりと閉じられているのは、この力のおかげです。接着剤を使わないため衛生的で、糸で縫うよりも速く加工できるため、大量生産にも適しています。
ひと目でわかる!「ヒートシール」の仕組み
探求のポイント
低温で、素早く、強力に。悩ましい、接着のバランス。
この機能で面白いのは、「低い温度で溶けること(中身を熱から守る)」「素早くくっつくこと(大量生産)」「強力に接着すること(中身が漏れない)」という、三つの相反する要求を同時に満たさなければならない点です。
この難しい課題を解決するため、私たちは特別な不織布を設計することがあります。例えば、表と裏で溶ける温度が違う繊維を用いた、二層構造の製品です。接着したい面だけが低い温度で溶け、もう片面は溶けずに全体の強度を保つ。このような工夫で、難しい要求に応えています。
また、ヒートシール性は、接着の強さ(シール強度)や、接着できる温度の範囲(ヒートシール温度域)などで評価されます。また、パッケージとして使われる場合は、印刷のしやすさ(印刷適性)が求められることもあります。

密封性が求められる、様々なパッケージで活躍しています。
キーワード解説
複合繊維:
一本の繊維の中に、複数の異なる性質を持つ樹脂を組み合わせた高機能な繊維のこと。低温で溶ける部分と、形を保つ芯の部分を併せ持つ繊維などがあり、ヒートシール性の鍵を握る技術です。

どうやって不織布にこの力を与えるのでしょうか?その鍵は、「熱融着繊維」と呼ばれる特別な繊維にあります。
特別な「複合繊維」で、設計する。
この熱融着繊維は、一本の繊維の中に、複数の性質を持つ部分を組み合わせた「複合繊維」の一種です。具体的には、低温で溶けて接着剤の役割を果たす部分と、熱に強く、繊維全体の形を保つ骨格となる部分を、一つの繊維の中に併せ持っています。
製造の段階で、この特別な繊維を最適なバランスで織り交ぜ(主な製法はサーマルボンドやスパンボンドです)、最後の仕上げに熱を加えると、接着剤の部分だけが溶けて繊維同士を強力に結びつけ、骨格の部分はしっかりと形を保ちます。
私たちは、お客様が使用される加工機や、製品に求められる性能に合わせて、最適な複合繊維を設計し、この「熱で接着する力」を実現しています。
・主な製法はサーマルボンド、スパンボンド
・使用される加工機によって加工適正や接着温度が変わってきます。最適な物を見つけ出しますので、ご相談ください。
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