不織布百科事典

アイデアを形にする不織布の可能性

カラー対応

カラフルなだけじゃない。色が落ちないヒミツ。

特徴

不織布は白い製品が多いですが、実は色々な色で作ることができます。色の付け方には、大きく分けて二つの方法があります。
一つは、完成した白い不織布に、後から色を付ける方法です。しかし、これだと擦れた(こすれた)時に色が落ちてしまうことがあります。
もう一つは、繊維の原料そのものに色を混ぜ込んでしまう「原着繊維」を使う方法です。繊維の「中」までしっかり色がついているので、擦れても色が落ちにくいのが特長です。

ひと目でわかる!色の付け方の違い

私たちは、中までしっかり色のついた、色落ちしにくい方法を大切にしています。

探求のポイント

「黒い不織布」という挑戦

不織布における「色」は、単なるデザインではありません。時には、それ自体が機能であり、乗り越えるべき技術的な挑戦にもなります。
特に「黒色」は、私たちにとって長年の難しい課題でした。なぜなら、もし他の色の製品に僅かでも黒い繊維が混ざると、それが髪の毛のように見え、品質への信頼を大きく損なう大問題に繋がるからです。

しかし、黒い繊維には「燃えない」特性を持つ炭化繊維(酸化アクリル繊維)など、他の色では代替できない、優れた機能がありました。お客様の要望に応えるためには、このリスクを管理し、「黒」を扱いきる技術が必要だったのです。
私たちは、製造プロセスや清掃方法を徹底的に見直すことで、この課題を克服しました。

その結果、かつてはリスクでしかなかった「黒」を、自信を持って扱える「武器」へと変えることができたのです。
その経験があったからこそ、美容成分である「活性炭」を配合した黒いフェイスマスクのような、新しい価値を持つ製品も生まれています。

主な使用用途

身近なものから産業の分野まで、不織布の「色」は、製品に個性と機能を与えています。
  • 教材やラッピング用品
  • カラーマスク
  • 自動車の内装材

技術特性とスペック

「この色は、どれくらい色移りしにくいのか?」その強さは、JIS規格という国が定めた共通の「ものさし」で客観的に測ることができます。

摩擦に対する染色堅ろう度試験 (JIS L 0849):

専用の機械で生地の表面を100回こすり、他の布にどれだけ色が移るかを評価する試験です。

キーワード解説

原着繊維(げんちゃくせんい):
繊維の原料となる樹脂チップに、色のもと(顔料)を混ぜ込んで繊維にしたものです。繊維自体に色が付いているため、後から染める方法に比べて、色落ちや色あせがしにくい特長があります。

製造方法と品質

どうやって、色むらのない美しい不織布を作るのでしょうか。そこには、私たちのこだわりが詰まっています。

素材の力(原着繊維)

製品の目的に合わせ、色落ちしにくい「原着繊維」を基本とすることで、長く美しさを保つ品質を実現します

ノウハウの力(徹底した清掃)

作る色を変える時、機械に前の色が少しでも残っていると、次の製品の品質を損なってしまいます。私たちは、長年の経験で培った「どこを、どのように掃除すべきか」というノウハウを活かし、この難しい色替えに対応しています。そもそも、このように手間のかかるカラー不織布を昔から手掛けているのは、「小ロット多品種に対応し、面倒な事にもしっかり対応する」という姿勢を大切にしているからです。これも私たちの品質を支える、こだわりです

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