色だけではない、凹凸が生み出す新しい不織布
平面的だった不織布に新たな表現を。
凹凸加工の試作から製品化までの取り組みをご紹介します。
不織布に立体感を
不織布に模様を付ける。
それ自体は決して珍しいことではありません。
シンワでは従来から「グラビア印刷」という方法で不織布に模様を付けてきました。凹状の柄が刻まれたロールに、樹脂と顔料を混ぜたインキを載せ、不織布へ転写していく加工方法です。色やデザインを加えることで、不織布に新たな表情を与えることができます。
しかし、ある時こんな話が持ち上がりました。
「印刷ではなく、不織布そのものに凹凸のある模様を付けられないだろうか?」
平面的な模様ではなく、手に取った瞬間に分かる立体感。見た目だけでなく、触感にも特徴を持たせた不織布への挑戦が始まりました。
模様を「印刷する」から「成形する」へ
今回導入したのは、模様が刻まれたシェルと呼ばれる部材を用いる加工方法です。
グラビア印刷が色を転写する加工であるのに対し、この方法は不織布を模様の形状に押し込むことで柄を形成します。いわば、不織布を成形するような加工です。
この方法には大きな特徴があります。
ひとつは、模様が凹凸として表現されることです。印刷では表現できない立体感やボリューム感が得られます。
もうひとつは、模様形成のために樹脂を必要としないことです。従来の印刷加工に比べて、不織布本来の柔らかさを残した仕上がりになります。


見える柄とは何か
まずは設備メーカーから紹介された既存の柄を使い、どのように模様が現れるのかを確認することから始めました。
最初に検証したのは、柄を凹ませるのか、それとも凸にするのかという点です。
実際にサンプルを作成して比較すると、凸形状の方が模様として認識しやすく、立体感も伝わりやすいことが分かりました。
方向性が決まると、次は複数の柄で評価を行いました。
ところが、単純に柄を変えれば良いというものではありませんでした。
同じ加工条件でも、柄によって見え方が大きく異なります。また、使用する繊維の種類や不織布の厚み、加工条件によっても模様の出方が変わってしまいます。
思った以上に奥が深い加工でした。
試作と評価を繰り返しながら、「凹凸が分かりやすく」「さまざまな用途に使いやすい」柄を探していった結果、最終的に選ばれたのが麻の葉柄でした。
社内を巻き込んだ製品づくり
柄が決まってからも開発は続きました。
凹凸をより鮮明に出すための条件検討を繰り返しながら、他部門とも協力して実用化を進めていきました。
営業部門にはハンドサンプルを用いてお客様へ提案してもらい、市場の反応を確認しました。
生産部門にはシェルの寸法調整や設備への取り付け方法を検証してもらい、安定した生産方法を模索しました。
そうした活動の中で、凹凸模様のある不織布に興味を持ってくださるお客様が現れました。
さらに社内でも量産化の見通しが立ち、本格的な製品開発へ進むことになりました。
形になった「美化ロール」
シェル導入後は実機による試作を行い、複数条件のロールサンプルを生産しました。
そこから折り加工品やラミネート加工品など、実際の製品形態で評価を実施しました。
ちょうどその頃、グループ会社である東京メディカルでは介護分野への取り組みを強化していました。
その中で特に評価されたのが、ラミネート加工を施した汚れ防止シートでした。
麻の葉柄という和柄の持つ落ち着いた印象も活かし、カラーは緑やグレーを中心とした穏やかな色合いを採用しました。
こうして誕生したのが「美化ロール(ピカロール)」です。
2025年にはグッドデザイン賞も受賞し、介護現場の実情に寄り添った機能性と実用性が評価されました。

新しい表現の可能性
今回の開発によって、シンワで生産できる不織布の表現の幅は大きく広がりました。
不織布は「平らなシート」であることが当たり前と思われがちです。しかし、加工方法を工夫することで、新たな価値を生み出すことができます。
凹凸による意匠性、触感、そして用途の広がり。
これからも私たちは、不織布の可能性を探りながら、新しい用途開発に挑戦していきます。
バリューカードがつなぐ、相互理解からはじまる採用へ
“選ぶ“ ”選ばれる“ だけではなく、“知り合う”こともできる採用へ。
価値観を言葉にしながら、お互いの“らしさ”に耳を傾ける。
バリューカードを通して、人と人との新しい出会い方を模索した思索の物語です。
バリューカードとの出会い
「バリューカードって知っていますか?」
そんな言葉を聞いたのは、県内の学生コミュニティ代表者の方と雑談をしていたときのことでした。それは、自分が大切にしたい価値観をカードから選び取っていくカードゲームだそうです。ルールはとてもシンプル。まず、参加者に5枚ずつのカードが配られます。カードには人生や仕事において軸となる様々な「価値観」が書かれています。

山札から新しいカードを1枚引き、手元にあるカードと見比べながら、自分が「より大切だ」と思う5枚を残し、溢れた1枚を捨てていきます。これを何度か繰り返します。そして最後に手元に残った5枚のカードをみんなの前にオープンにして、お互いの価値観を共有し合うのです。
「面白いですよ。人によって残すカードが全然違うんです。」
たとえば、「安定も大切だけれど、今の自分はそれ以上にチャレンジを大事にしたい。」そんなふうに、自分の価値観に優先順位をつけながら選んでいくのです。
正解はなく、選んだ理由にもその人らしさが表れる。
話を聞いているうちに、ただカードを選ぶだけではない、その場に流れる空気が自然と想像されました。
カードを囲みながら、「どうしてその言葉を選んだのか」を話していく時間。
自分の考えを言葉にしていく姿。
そして、相手の価値観に耳を傾けながら、「そういう考え方もあるんだ」と知っていく感覚。
それは、どこか「人を知る」ための時間のように思えたのです。

新しい選考の模索
バリューカードと出会った頃は、春からの採用活動について話し合っている時期でもありました。
そんなとき、ふと頭に浮かびました。
「もし面接で、バリューカードを囲んだら、どんな時間になるんだろう。」
面接官が質問を投げかけ、学生は用意してきた回答を返す。
そんな一問一答の形式がこれまでの当たり前であり、何の疑問も抱いていませんでした。。
けれど、カードゲームの話を聞いたあとに振り返ると、それはお互いに少し身構えたまま、どこか品定めをし合うような時間になっていたのではないか、と気づかされたのです。 限られた時間のなかで、その人の本当の人柄や、大切にしている価値観まで知ることは、案外難しいものです。
まずはお互いを知り合う時間として。
問いに答えるだけではなく、自分の価値観を言葉にしてみる時間として。
社内で話し合いを重ね、「選考」ではなく「出会い」の場にしてみよう、という想いが少しずつ形になっていきました。
しかし、現実はそう簡単ではありませんでした。
いざ採用活動が始まると、学生の予約はオンライン開催が中心に。
画面越しではカードの手触りや、その場に流れる空気感までは共有しきれません。
残念ながら、当初目的としていた「バリューカードを使った一次面接」は、まだ実現できていません。
相互理解から広がるつながり
それでも、「やってみたい」で終わらせたくはありませんでした。
この春、私たちは新入社員研修にバリューカードを取り入れてみることにしました。
同じテーブルでフラットにカードを引き、悩み、選び、言葉を交わす。
ゲーム感覚で楽しくコミュニケーションを取りながら、リラックスした雰囲気の中で自然と会話が弾みます。型にはまった研修では見えにくかった新入社員たちの「素の表情」や「大切にしている想い」が、カードを通して少しずつ見えてきました。
実際に参加した新入社員からも、
「自分の価値観を改めて見つめ直せた」
「お互いのことを自然に知ることができた」
「初対面でも距離が縮まった」
という声が届いています。

今回の試みを通して感じたのは、「相互理解」は決して特別なことではなく、ほんの少し、互いの価値観に耳を傾けるところから始まるのだということでした。
布でも紙でもない「不織布」という素材には、決まった形がありません。繊維の絡ませ方ひとつで、柔らかくもなれば、強くもなります。無限の可能性を秘めた素材を扱う私たちだからこそ、人と会社とのつながり方だって、決まった型に縛られる必要はないはずです。
いつか就職活動という人生の節目に立つ学生たちと、このカードを囲める日を思い描きながら。
シンワは今日も、人と人との新しいつながりを、少しずつ紡いでいます。
見えない繊維が未来を紡ぐナノファイバー不織布

シンワは国内最多の6つの製法技術を確立しています。
今回は、その中の1つである「ナノファイバー」についてご紹介します。
ナノファイバーとは
ナノファイバーとは、直径が数十~数百ナノメートルの非常に細い繊維のことを指します。
ヒトの髪の毛の太さは約70~80ミクロンであるため、ナノファイバーがいかに微細であるかがお分かりいただけると思います。
(1ミクロンは1000分の1ミリ。1ナノメートルは100万分の1ミリ)
ナノファイバー不織布は、比表面積が大きく、軽量で、薄く柔らかいという特長を持っています。そのため、美容・医療・各種フィルター分野など、幅広い用途に適した素材として注目されています。

シンワとナノファイバー
シンワは、2008年にナノファイバー不織布の開発をスタートしました。
生産技術としては、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)を採用しています。
従来シンワで生産していた不織布とは製法が大きく異なり、溶液調整や基材の選定、厳密な温湿度管理など、未経験の課題に直面し、試行錯誤の連続でした。
トライアンドエラーを重ね、2013年に初めて製品がお客様に採用された際の感動は、今でも忘れられません。
その後も継続的に研究開発に取り組み、2024年には、ナノファイバー不織布の生産設備を増設しています。
ナノファイバーの特長
ナノファイバーは非常に軽くて、薄い不織布です。
その重量は1㎡当たり1g以下であるものが多く、社内の従来製法による不織布と比べて
10分の1以下という軽さを実現しています。
また、その厚さも一般的なコピー用紙の約20分の1程度と非常に薄いことが特徴です。
一方で、ナノファイバー不織布は強度が弱く、破れやすいという課題があります。
そこで、ポリマー溶液を基材に噴射し、基材上にナノファイバー層を形成させることで積層構造とし、取り扱いやすい強度を確保しています。

主な特長は以下の通りです。
・ナノサイズの繊維(繊維径50~500nm)
孔径分布が狭く、高いフィルトレーション性能を発揮します。
・材料設計の自由度が高い
複数のポリマーの混合や各種薬剤を添加することが可能であり、用途に応じた機能設計ができます。
薬剤例:美容成分(ヒアルロン酸Na、コラーゲンペプチド等)、抗菌剤 など
・比表面積が大きい
ポリマーや薬剤の機能を最大限に発揮させることができます。
さらに、親水性ポリマーからなるナノファイバー不織布には、下記の写真のように、水に浸すと透明になるという興味深い特長があります。この特長を活かし、新しい使用感を提供する美容シートの開発にも取り組んでいます。

ナノファイバーの今後
これまでに培ってきた技術と経験を礎に、さらなる高機能化・高付加価値化に挑み続けるとともに、6つの製法を有するシンワならではの強みを最大限に活かし、独自性の高いナノファイバー不織布の開発に取り組んでまいります。
ナノファイバー化をご希望のポリマーや、ナノファイバーへの添加をご検討中の機能剤などがございましたら、まずは紡糸可否を確認する少量でのテストから対応可能です。
お気軽にお問い合せください。
はじめての『FAMILY DAY(家族参観日)』

手探りから始まった、はじめての『FAMILY DAY』。
不織布という素材、働く私たちの姿、そして積み重ねてきた仕事。当社のありのままを伝えるため、半年間、部署の垣根を超えて知恵を絞りました。対話を重ねて形にした一日は、私たちにとっても大切な時間となりました。
当日までの準備
2025年秋、シンワは初めての試みとなる『FAMILY DAY(家族参観日)』を開催しました。
私たちは、企業向けに製品を届ける「BtoB」の専業メーカーです。私たちがつくる不織布は、マスクや衛生用品など、実はカタチを変えて暮らしのあらゆる場面を支えています。
しかし、私たちの仕事は、普段なかなか表に出る機会がありません。
「どんな製品をつくっているの?」「会社ではどんな仕事をしているの?」
実は、社員のご家族からもそのような声が聞かれていました。
「毎日向き合っているこの仕事のやりがいを、一番近くにいる人に肌で感じてもらいたい。」
そんな想いから、このプロジェクトは動き出しました。
開催に向けた準備は、約半年前からスタート。
他社の工場見学ツアーに足を運んでヒントを探し、社内では何度も打ち合わせを重ねました。
一番の課題は、「不織布ってなに?」をいかに分かりやすく、楽しく伝えるかということ。
安全面への配慮はもちろん、子供たちが飽きずに楽しめる体験プログラムを練り上げました。
普段の業務では関わりの少ない、さまざまな部署から集まったプロジェクトメンバーたち。
「どうすればもっと喜んでもらえるだろう?」 役職や部署の立場を超えて、一丸となってアイデアを出し合いながら、少しずつプログラムを形にしていきました。
ついに迎えた当日
みんなで試行錯誤を重ねた結果、当日は3つのプログラムを実施しました。
・不織布ミニ講座
・工場見学
・オリジナル不織布づくりワークショップ
「不織布ミニ講座」では、その特徴や用途をクイズやゲーム形式で楽しく学べるように工夫。 「これも不織布なの?」と、身近な製品に驚く声も上がりました。

工場見学では、普段は入ることのできない製造現場へ。
お子さんにも伝わるよう、見学ルートや説明内容には特に苦心しましたが、実際に歩いてみると少し内容が難しかったという反省点も。そこは次回に向けた大切な改善点です。

そして、特に盛り上がったのが「オリジナル不織布づくりワークショップ」です。
研究開発用の機械を使って、世界にひとつだけの不織布づくりに挑戦。
お子さんたちはもちろん、大人も思わず夢中に。
「もう一回やりたい!」という声も聞こえ、会場は終始にぎやかな雰囲気に包まれました。

また、参加した社員のみなさんの職場では見せない“お父さん・お母さんの顔”が垣間見えたのも、この日の大きな収穫です。
私たちにとっても、あたたかく、心に残る時間となりました。
これからの取り組み
たくさんの笑顔に出会えた、初めての『FAMILY DAY』。
準備は決して容易ではありませんでしたが、ご家族の表情を見た瞬間、プロジェクトメンバー全員の苦労が報われる思いでした。
今回はお子様連れのご参加が中心でしたが、今後はその輪をさらに広げていきたいと考えています。お父様やお母様、お祖父様やお祖母様、そしてお孫さんまで。世代を超えて、誰もがそれぞれの視点で楽しめる企画を模索していきます。今回の反省点も真摯に受け止め、より充実した内容へと繋げていく予定です。
そして、今後はご家族だけでなく、地域の皆さまにも気軽に足を運んでいただける「オープンファクトリー」の開催も検討しています。
この地で創業して約80年。
私たちはこれからも地域とともに歩み、ものづくりを通じて、一つひとつの信頼と笑顔を積み重ねてまいります。

社内の畑から広がる、つながりと学び

良いものづくりは、良い土壌から生まれる。
シンワの敷地内には畑があります。
「この畑を、もっとみんなの場所にできないだろうか」。そんな思索の物語です。
一歩一歩の土づくり
シンワの敷地内には20年ほど前に植樹を始めた果樹園と畑があります。文旦、夏みかん、ゆず、きんかん、ライムといった柑橘類を中心に、四季折々の野菜も育てていますが、実際にその日々の様子を知る社員は多くありませんでした。
「せっかくの畑を、もっとみんなで活かせないだろうか」。
そんな想いから、2024年秋、社内の有志メンバーによる「Shinwa Farmプロジェクト」が、ささやかに始まりました。
最初の取り組みは、社内の希望者に畑の一部を貸し出す「シェア農園」。7名の社員が参加し、畑の管理を担当しているスタッフのアドバイスを受けながら、それぞれ思い思いの野菜やハーブ、花を育てています。参加者の多くは農園初心者ですが、種や苗から収穫を迎えるまでの過程を、純粋に楽しんでいます。

広がる、収穫の輪
続々と実る四季折々の野菜や果樹は、スタッフ一人では収穫が追いつかないほど。そこで、有志による「収穫のお手伝いの会」も、不定期で開かれるようになりました。
お昼休みを利用した短い時間ですが、毎回10〜20名ほどが自然と集まってくれます。土に触れ、自分の手で収穫する。みんなで手を動かしながら、季節の恵みを実感できるこのひとときは、不織布の業務では味わえない、大切な時間となっています。
畑の脇では、自然と会話も広がります。部署や役職を越えて、ただ一緒に野菜を収穫する仲間になる。そんな温かいコミュニケーションが、少しずつ、ここから生まれています。

良い製品は、良い土壌から
今後は、収穫物を使ったイベントの開催や、サステナビリティの一環として生ごみを堆肥化するコンポストへの挑戦など、新たな取り組みにも挑戦できたらと考えています。
良い野菜が、豊かな土壌から生まれるように、良い製品もまた、豊かな土壌(企業風土)から生まれると、私たちは信じています。Shinwa Farmをきっかけに育まれる、社員同士のつながりや、日々食べるものや環境への意識。それら全てが、私たちのものづくりの、見えない力になります。
少しずつ一歩一歩。
私たちは、未来のための土づくりを、みんなで続けていきたいと思います。

二つの問いから生まれた、医療用カーテン
不織布で作る安全性と快適性

不織布に、どのような「可能性」を織り込めるか、私たちの日々はその探求の連続です。それは時に、これまでになかった風合いや、新しい機能性だったりします。
今回は、医療現場の病室における「安全性」と「快適性」という、二つの課題に同時に応えた不織布カーテン開発の物語です。
病室カーテンの課題
2015年、周産期医療のパイオニアとして、全国の医療機関へ衛生材料を提供する株式会社リリー様(新潟市)からお問い合わせを頂きました。常に医療現場の最前線の声に耳を傾けている、衛生管理のプロフェッショナルです。
「難燃性を持ち、かつ衛生的な不織布で、新しい病院用カーテンは作れないだろうか?」
これまでの病室のカーテンは、患者さんのプライバシーを守る必需品である一方、院内感染のリスクを抱え、特に安価な製品はその多くが建築基準法の難燃性を満たしていませんでした。この複合的な課題が、私たちの新しい「試作」の始まりとなりました。
経済的な品質
まず向き合ったのはどの製法を選ぶか、という選択でした。コストを考えればスパンボンド製法が優位ですが、素材の特性上、難燃化は容易ではありません。価格で勝負できない以上、別の価値を追求する必要がありました。
そこで選んだのは、スパンレース製法です。
理由は、入院患者さんの「心」でした。スパンレース不織布は、柔らかく、布製カーテンに近い自然なドレープ性(しなやかさ)を持ちます。落ち着いた風合いは、患者さんの不安を和らげるといった、心理的効果をもたらす可能性があります。また、繊維が絡み合う構造は透けにくく、プライバシー保護という役割にも適しています。
15年の蓄積
スパンレースの難燃化も簡単な道のりではありません。不織布に難燃剤を固着させる「バインダー(接着剤)」は、相性を見つけるのが非常に難しいのです。しかし、この困難な要求に対し、私たちは迅速に応えることができました。なぜなら、この挑戦は今回、始まったものではなかったからです。
難燃化技術の探求は、2000年頃、自動車資材の分野で始まっていました。約20種の難燃剤と約10種のバインダー、およそ50組もの組み合わせを、約3年という歳月をかけて地道に検証した知見が、すでに社内には蓄積されていたのです。日々の地道な研究開発が、未来の課題を解決する。これこそが、私たちの信じる「日々しさく」です。
抗菌という常識を問う
開発も大詰めを迎えた頃、リリー様からの当初の要望に、改めて向き合いました。「淡い色彩」と「親水性」。患者さんの心を和ませる色と、万が一、体液などが付着した際に、それと見てわかるようにする機能です。
ここに、従来の「常識」を覆す、新しい安全の形を見出しました。

これまでは「抗菌」、つまり菌を抑えることが主眼でした。しかし、そうではなく、「汚染のリスクを、誰の目にも明らかにし、速やかに交換・廃棄する」。これこそが、より本質的な安全管理ではないか。この「発見」が製品の核となりました。
価値の証明
こうして完成した製品の独自の着想は、「特許第6795822号」として公に認められました。「人の体液が付着して生じるシミを、生地の色と界面活性剤の組み合わせによって見分けやすくし、交換の必要性を目視で判断できるようにした点」。ここに、私たちの独創性があります。
特許成立後、第三者からの異議申し立てを受けましたが、再審査でも権利は維持されました。それは、この技術が業界から注目される価値を持っていることの、何よりの証左と言えるでしょう。
現在は新型コロナウイルス等の感染症対策にも有効な製品として、全国の多数の医療機関や介護施設で採用されています。
なによりも一枚のカーテンが病院の環境を改善し、そこで過ごす人々の健やかな生活を守る一助となること。それこそが、私たちの願いです。
商品名:
ディスポ防炎カーテン
販売:
株式会社リリー
https://www.lily.co.jp/



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