はじめての『FAMILY  DAY(家族参観日)』

手探りから始まった、はじめての『FAMILY DAY』
不織布という素材、働く私たちの姿、そして積み重ねてきた仕事。当社のありのままを伝えるため、半年間、部署の垣根を超えて知恵を絞りました。対話を重ねて形にした一日は、私たちにとっても大切な時間となりました。

当日までの準備

2025年秋、シンワは初めての試みとなる『FAMILY DAY(家族参観日)』を開催しました。

私たちは、企業向けに製品を届けるBtoB」の専業メーカーです。私たちがつくる不織布は、マスクや衛生用品など、実はカタチを変えて暮らしのあらゆる場面を支えています。

しかし、私たちの仕事は、普段なかなか表に出る機会がありません。
「どんな製品をつくっているの?」「会社ではどんな仕事をしているの?」
実は、社員のご家族からもそのような声が聞かれていました。

「毎日向き合っているこの仕事のやりがいを、一番近くにいる人に肌で感じてもらいたい。」
そんな想いから、このプロジェクトは動き出しました。

開催に向けた準備は、約半年前からスタート。
他社の工場見学ツアーに足を運んでヒントを探し、社内では何度も打ち合わせを重ねました。

 一番の課題は、「不織布ってなに?」をいかに分かりやすく、楽しく伝えるかということ。
安全面への配慮はもちろん、子供たちが飽きずに楽しめる体験プログラムを練り上げました。

普段の業務では関わりの少ない、さまざまな部署から集まったプロジェクトメンバーたち。
「どうすればもっと喜んでもらえるだろう?」 役職や部署の立場を超えて、一丸となってアイデアを出し合いながら、少しずつプログラムを形にしていきました。

ついに迎えた当日

みんなで試行錯誤を重ねた結果、当日は3つのプログラムを実施しました。

・不織布ミニ講座

・工場見学

・オリジナル不織布づくりワークショップ

「不織布ミニ講座」では、その特徴や用途をクイズやゲーム形式で楽しく学べるように工夫。 「これも不織布なの?」と、身近な製品に驚く声も上がりました。

お父さん、お母さんの働く会社や仕事について学びました。

工場見学では、普段は入ることのできない製造現場へ。

お子さんにも伝わるよう、見学ルートや説明内容には特に苦心しましたが、実際に歩いてみると少し内容が難しかったという反省点も。そこは次回に向けた大切な改善点です。

不織布の原料を初めて触ってみました。ふわふわ!

そして、特に盛り上がったのが「オリジナル不織布づくりワークショップ」です。
研究開発用の機械を使って、世界にひとつだけの不織布づくりに挑戦。

お子さんたちはもちろん、大人も思わず夢中に。
「もう一回やりたい!」という声も聞こえ、会場は終始にぎやかな雰囲気に包まれました。

世界に一つだけのオリジナル不織布作り。みんな真剣です!

また、参加した社員のみなさんの職場では見せない“お父さん・お母さんの顔”が垣間見えたのも、この日の大きな収穫です。
私たちにとっても、あたたかく、心に残る時間となりました。

これからの取り組み

たくさんの笑顔に出会えた、初めての『FAMILY DAY』。
準備は決して容易ではありませんでしたが、ご家族の表情を見た瞬間、プロジェクトメンバー全員の苦労が報われる思いでした。

今回はお子様連れのご参加が中心でしたが、今後はその輪をさらに広げていきたいと考えています。お父様やお母様、お祖父様やお祖母様、そしてお孫さんまで。世代を超えて、誰もがそれぞれの視点で楽しめる企画を模索していきます。今回の反省点も真摯に受け止め、より充実した内容へと繋げていく予定です。

 そして、今後はご家族だけでなく、地域の皆さまにも気軽に足を運んでいただける「オープンファクトリー」の開催も検討しています。

この地で創業して約80年。
私たちはこれからも地域とともに歩み、ものづくりを通じて、一つひとつの信頼と笑顔を積み重ねてまいります。

社内の畑から広がる、つながりと学び

良いものづくりは、良い土壌から生まれる。
シンワの敷地内には畑があります。
「この畑を、もっとみんなの場所にできないだろうか」。そんな思索の物語です。

一歩一歩の土づくり

シンワの敷地内には20年ほど前に植樹を始めた果樹園と畑があります。文旦、夏みかん、ゆず、きんかん、ライムといった柑橘類を中心に、四季折々の野菜も育てていますが、実際にその日々の様子を知る社員は多くありませんでした。

「せっかくの畑を、もっとみんなで活かせないだろうか」。

そんな想いから、2024年秋、社内の有志メンバーによる「Shinwa Farmプロジェクト」が、ささやかに始まりました。

最初の取り組みは、社内の希望者に畑の一部を貸し出す「シェア農園」。7名の社員が参加し、畑の管理を担当しているスタッフのアドバイスを受けながら、それぞれ思い思いの野菜やハーブ、花を育てています。参加者の多くは農園初心者ですが、種や苗から収穫を迎えるまでの過程を、純粋に楽しんでいます。

愛媛県といえばみかん。シンワの畑は本社工場(四国中央市)に隣接しています

広がる、収穫の輪

続々と実る四季折々の野菜や果樹は、スタッフ一人では収穫が追いつかないほど。そこで、有志による「収穫のお手伝いの会」も、不定期で開かれるようになりました。

お昼休みを利用した短い時間ですが、毎回10〜20名ほどが自然と集まってくれます。土に触れ、自分の手で収穫する。みんなで手を動かしながら、季節の恵みを実感できるこのひとときは、不織布の業務では味わえない、大切な時間となっています。

畑の脇では、自然と会話も広がります。部署や役職を越えて、ただ一緒に野菜を収穫する仲間になる。そんな温かいコミュニケーションが、少しずつ、ここから生まれています。

事務所傍に陳列された収穫物は自由に持ち帰れます。夕方にはほぼなくなります

良い製品は、良い土壌から

今後は、収穫物を使ったイベントの開催や、サステナビリティの一環として生ごみを堆肥化するコンポストへの挑戦など、新たな取り組みにも挑戦できたらと考えています。

良い野菜が、豊かな土壌から生まれるように、良い製品もまた、豊かな土壌(企業風土)から生まれると、私たちは信じています。Shinwa Farmをきっかけに育まれる、社員同士のつながりや、日々食べるものや環境への意識。それら全てが、私たちのものづくりの、見えない力になります。 

少しずつ一歩一歩。
私たちは、未来のための土づくりを、みんなで続けていきたいと思います。

先日新しく耕しタネを蒔いた場所から、(ほうれん草)が芽吹きました

二つの問いから生まれた、医療用カーテン

不織布で作る安全性と快適性

不織布に、どのような「可能性」を織り込めるか、私たちの日々はその探求の連続です。それは時に、これまでになかった風合いや、新しい機能性だったりします。

今回は、医療現場の病室における「安全性」と「快適性」という、二つの課題に同時に応えた不織布カーテン開発の物語です。

病室カーテンの課題

2015年、周産期医療のパイオニアとして、全国の医療機関へ衛生材料を提供する株式会社リリー様(新潟市)からお問い合わせを頂きました。常に医療現場の最前線の声に耳を傾けている、衛生管理のプロフェッショナルです。

「難燃性を持ち、かつ衛生的な不織布で、新しい病院用カーテンは作れないだろうか?」

これまでの病室のカーテンは、患者さんのプライバシーを守る必需品である一方、院内感染のリスクを抱え、特に安価な製品はその多くが建築基準法の難燃性を満たしていませんでした。この複合的な課題が、私たちの新しい「試作」の始まりとなりました。

経済的な品質

まず向き合ったのはどの製法を選ぶか、という選択でした。コストを考えればスパンボンド製法が優位ですが、素材の特性上、難燃化は容易ではありません。価格で勝負できない以上、別の価値を追求する必要がありました。

そこで選んだのは、スパンレース製法です。

理由は、入院患者さんの「心」でした。スパンレース不織布は、柔らかく、布製カーテンに近い自然なドレープ性(しなやかさ)を持ちます。落ち着いた風合いは、患者さんの不安を和らげるといった、心理的効果をもたらす可能性があります。また、繊維が絡み合う構造は透けにくく、プライバシー保護という役割にも適しています。

シンワではスパンレース不織布製造ラインを、小ロット生産向けと大型ラインの2基設置しています

15年の蓄積

スパンレースの難燃化も簡単な道のりではありません。不織布に難燃剤を固着させる「バインダー(接着剤)」は、相性を見つけるのが非常に難しいのです。しかし、この困難な要求に対し、私たちは迅速に応えることができました。なぜなら、この挑戦は今回、始まったものではなかったからです。

難燃化技術の探求は、2000年頃、自動車資材の分野で始まっていました。約20種の難燃剤と約10種のバインダー、およそ50組もの組み合わせを、約3年という歳月をかけて地道に検証した知見が、すでに社内には蓄積されていたのです。日々の地道な研究開発が、未来の課題を解決する。これこそが、私たちの信じる「日々しさく」です。

抗菌という常識を問う

開発も大詰めを迎えた頃、リリー様からの当初の要望に、改めて向き合いました。「淡い色彩」と「親水性」。患者さんの心を和ませる色と、万が一、体液などが付着した際に、それと見てわかるようにする機能です。

ここに、従来の「常識」を覆す、新しい安全の形を見出しました。

スパンレース不織布は、飲食店や食品に関わる業界で広く利用されています

これまでは「抗菌」、つまり菌を抑えることが主眼でした。しかし、そうではなく、「汚染のリスクを、誰の目にも明らかにし、速やかに交換・廃棄する」。これこそが、より本質的な安全管理ではないか。この「発見」が製品の核となりました。

価値の証明

こうして完成した製品の独自の着想は、「特許第6795822号」として公に認められました。「人の体液が付着して生じるシミを、生地の色と界面活性剤の組み合わせによって見分けやすくし、交換の必要性を目視で判断できるようにした点」。ここに、私たちの独創性があります。

特許成立後、第三者からの異議申し立てを受けましたが、再審査でも権利は維持されました。それは、この技術が業界から注目される価値を持っていることの、何よりの証左と言えるでしょう。

現在は新型コロナウイルス等の感染症対策にも有効な製品として、全国の多数の医療機関や介護施設で採用されています。

なによりも一枚のカーテンが病院の環境を改善し、そこで過ごす人々の健やかな生活を守る一助となること。それこそが、私たちの願いです。


商品名:
ディスポ防炎カーテン


販売:
株式会社リリー
https://www.lily.co.jp/